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瀬戸内の魚と米のマリアージュ!? 海と陸と人をつないで新たな価値を生む元漁師(1/5)

カンザワラ、クロダイ、鍋割りチヌ、甲イカ……耳慣れない魚たちはすべて愛媛県に広がる瀬戸内海で獲れる「ローカル魚」だ。

新鮮な愛媛のローカル魚に「神経〆」「寝かせ」「放血」など魚を美味しくする漁師の秘技を施して全国の飲食店へ直販し、また自社工場で加工品製造もおこなう「せとぴち!」というブランドが愛媛県にある。

主な事業目的は、県内の漁師たちに利益を還元すること。そもそも漁師は自然を相手にしているので、収入は安定していない。そのうえ、買い手がつかないと漁師が判断した魚は、漁の時点で海に捨て、漁港に持って帰らないという問題がある。

さらに、特定の魚のシーズンになると、漁港へ持ち帰る魚種がかたより、魚価が下がってしまうのだ。近年では、全体の水揚げ量も激減している。売るものは少なく、さらに漁師の収入は不安定に。

漁師になる若い人間がいない、売れる魚しか漁で獲らない、売れる魚が少ない時には儲からない……。課題が目の前に山積する、まさに “ないないだらけ”の瀬戸内の海と漁師を守るために「せとぴち!」は誕生した。

山崎浩さんは脱サラをして漁師になったが、漁師は7年ほどでやめて「せとぴち!」を立ち上げた経歴の持ち主。

そんな彼は新たに、愛媛の「ローカル魚×ローカル米」を組み合わせた寿司のプロデュースに挑んでいる。まだ知られていない愛媛の魚と、廃れてしまった愛媛の米で、新たな観光資源を生み出そうとしているのだ。

山崎 浩(やまさき ひろし)
拠点は愛媛県の東部に位置する新居浜(にいはま)市。ビーコシーフード株式会社・代表取締役。「愛媛の海を守る」ことをスローガンに、鮮魚の直送通販と魚の加工食品を扱うブランド「せとぴち!」を運営している

サラリーマンから漁師に転向した山崎さん。漁師の新規参入は難しい印象があるが、後継者不足にあえぐ漁港が多かったため、歓迎されたという。

漁師になることで見えた課題。その解決のためにではあるが、あえて船を降りるというのは大きな決断だっただろう。

左に写るのは山崎さんの船。漁師を辞めた今は、他者の手に渡っている

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