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瀬戸内の魚と米のマリアージュ!? 海と陸と人をつないで新たな価値を生む元漁師(5/5)

海を通じて人を呼ぶ「仕掛けづくり」が瀬戸内を変えていく

地域を盛り上げるためにはじまった山崎さんの活動だが、そのもっと奥には瀬戸内海域の漁業全体の存亡への危機感があった。

瀬戸内の漁港、その多くが衰退の道をたどっているという現状がある。ただでさえ若い担い手が減っていくなか、太平洋や日本海といった広大な海で無数の魚を追うことができる環境と違い、瀬戸内の海は入り組んでいて狭い。

小さな海で限られた「儲かる魚」を取り合っていてはいずれ共に倒れてしまう……と山崎さんは話してくれた。

漁業の衰退に歯止めをかける活動の中で、加工業や鮮魚の販売だけではなく地域の魅力で、海を通じて人を呼ぶ「仕掛けづくり」にまで気持ちが進んでいる山崎さん。

漁師として船に乗り、沖に出るだけでは見えなかった未来予想図が今の彼の前には広がっていた。

対談のなかで牧さんが、「出すぎた杭は打ちようがない」という言葉を山崎さんへ授けるように言った。その言葉はきっと真理だ。その証拠に、彼の行動に賛同する人が少しずつ集まり始めている。

口だけではなく実際に行動し、少しずつ結果を生んでいく。そうした熱が伝播し、地元の漁師さん、隣町の漁師さんを変え、それが愛媛県内に波及しようとしている。

小さくて穏やかな海を見つめる男の目は、今日も青く燃えている。

文:荒木 貴大
撮影:木村 孝
編集:平山 靖子(おかん)/くいしん
記事提供元:Gyoppy! (ギョッピー)

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