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漁協の幹部、多数輩出。人材育成の組合学校、重要性高まる

農林水産省の漁業構造動態調査によると、漁業者全体の数は減少傾向が続いていながら65歳以上の割合は増えており高齢化は確実に進んでいる。若手漁業者育成の必要性は各方面で認識され少しずつ実行に移されているが、漁業者および漁業関係者等を支える漁協はじめとするJFグループの職員の人材育成の必要性も認識され、徐々に取組みが開始されつつある段階。

農林中央金庫JFマリンバンクでは、ウェブを通じた研修などで信用事業系統の人材育成を始めている。漁協職員などの人材育成を担うのが全国漁業協同組合学校で、水産業界に多くの人材を輩出してきた。吉田博身校長が「卒業生には優秀な方が多い」と胸を張り、多くは漁連や漁協はじめとする系統の幹部としても活躍している。

漁業法も改正されるなど漁業を取り巻く環境もめまぐるしく変わる中、漁協をはじめとする団体職員に求められる役割も多様化している。組合学校ではこうしたニーズに応えられる人材育成の役割を担っており、重要性はますます高まっている。

「卒業生、高い評価」。漁協の将来に「種まきを」

吉田校長

全国漁業協同組合学校は1941年にJF全漁連の付属学校として創立され、千葉県柏市に全寮制の校舎を構える。80年近くの間に2,600人以上の卒業生を業界に送り出してきた。2020年度の入学者は8人。漁業が隆盛の頃には人数が多く、1978年度には今の9倍近い74人が卒業したが、近年は10人前後が続いている。
例年4月から新年度が始まるが、今年は新型コロナ感染拡大の影響もあり、5月からZOOMで授業を開始し、6月の15、16日に新入生8人が入寮し17日から教室での授業を始めた。

入学者増目指し、高校訪問も

吉田校長は「以前は地元漁協の推薦をうけて入学する新卒者も多く、学校は受け手でよかったかもしれないが今は違う」と取り巻く環境の変化に触れ、「学校でも独自にホームページを作るなどして組合学校の取組みを周知している」と取り組みを紹介する。

加えて2017年からは水産高校を訪問し、組合学校の詳細を説明している。河村浩史学監は「以前は高校に入学案内を送るだけだったが組合学校について知らない先生も多く、足を運んで説明する効果を実感している」という。実際に説明を聞いて入学する学生もいるという。

現職の漁協職員も約2割

入学者の多くは漁協などJFグループへの就職を目指している水産高校などの新卒者。このほか、漁協に在職していて勉強のために入学する現職の漁協職員も毎年2割近くいる。
今年も8人の入学生のうち、2人は漁協の現職者だ。漁協として幹部候補生を育成するために、送ることが多いようだ。
また、人数としては多くないが海や魚が好きで漁協職員を目指し、ホームページを探して入学してくる高校新卒者や社会人もいるという。

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