ビジネス

漁協の幹部、多数輩出。人材育成の組合学校、重要性高まる

「基礎から学べるのがいい」

松田大輔さん(38)沖縄JF名護現職

沖縄県出身の松田大輔さん(38)は、JF名護の職員。在職15年目で、組合長から組合学校への入学を打診された。若い学生が多い中で一緒に勉強することに不安もあったが、組合長から二度目の打診を受け入学を決めた。

実際に学校生活が始まると、若い人と一緒で「かえって元気をもらっている」と話し、何より「(改正漁業法など)基礎から学べるのがいい」と意義を見出している。

これまでは漁業法や水産業協同組合法などについて漁業者から聞かれても、分からないことも多かった。授業では「講師の方はやはり詳しいし、事例と一緒に話してもらえるので、分かりやすい」と感じている。

授業を通じて実感するのは「一人はみんなのため、みんなは一人のため」という「協同組合の原点」の重要性だ。漁協に戻ってからは学んだことをみんなに伝えたいと思っている。

松田さんが組合学校の重要性を感じていることもあり、JF名護では今後も機会があれば、入学させる計画だ。

漁協へ就職、独り立ち目指す

新卒 北館柚有さん(19)

北海道の地元の漁協推薦を受けて入学してきた北館柚有さん(19)は、両親の勧めで進路を決めた。親戚に漁協の職員や漁業者もいて漁業が身近な存在だったこともあり、漁業関係への就職が多い組合学校に進むことにも抵抗感はなかった。

組合学校でも座学は苦手だが、寮での共同生活は楽しんでいる。漁協職員現職の10歳以上年が上の同窓生とも冗談を言い合い「上下関係とかもないし、年齢はみんな気にしてない」と笑顔で話す。初めて親元を離れての生活を送るが自分でこなさなくてはならない「洗濯も苦にならない」と、共同生活の中で培われてきた逞しさを垣間見せる。

地元漁協からの推薦をもらって入学したが、卒業したら「親のすねをかじるのではなく、独り立ちするためにもできれば道内の他の地区の漁協に就職した方がいい」と考え、準備を進めている。

漁協現職の友人を得たことで、漁協職員として就職してからも「分からないことがある時には聞けば大丈夫かな」と、学校でできたネットワークに心強さを感じている。

有事に生きる、協同組合精神

第42期卒業生、阿部支所長インタビュー

協同組合精神を持った漁協職員の養成」を目的とする全国漁業協同組合学校。2011年の東日本大震災で「その精神に助けられた」と語る第42期生のJFみやぎ志津川支所の阿部富士夫支所長に話を聞いた。

── なぜ組合学校に。

家業のワカメ養殖などを手伝っていた時、地元の戸倉漁協(当時)に周囲の漁師から非常に頼られている若手職員がいて、とても格好よく見えた。その頃から漁協に務めるのが目標となり、組合長に相談したら一度、組合学校で学んでから就職することを勧められた。憧れの先輩職員も卒業生だったので、高校卒業後、推薦を受け入学した。

── 組合学校ではどんな授業を。

協同組合法や経理など職員として必要な知識を一通り学校で教わった。専門的な内容なので、高校卒業後すぐに入学するよりも、何年か漁協の仕事を体験してからの方が理解しやすいかもしれないが、それでも基礎知識をつけるには最適。1年間の寮生活で培った仲間との助け合いの精神も大きな糧となっている。

── 漁協職員になってから役に立ったことは。

東日本大震災で地元が甚大な被害を受け、まず考えたのは「組合として組合員に何ができるか」ということ。これはまさに組合学校で繰り返し教え込まれた“協同組合精神”の基本的な部分だ。今でも、それは一番重要な行動指針だ。

── 後輩へのメッセージ。

組合学校は全国から学生が集まる。当時の同期とは今でも連絡を取り合う仲で、各地の漁協の状況を教えてくれる。知識を得るだけでなく、自らの見識を広げられるチャンスと考え、1年を無駄なく過ごしてほしい。

出典:水産経済新聞

<<

お問い合わせやご相談は、
お近くのJFマリンバンクまで

下記のページより「お住まい」または「勤務地」の店舗をお探しいただきお問い合わせください。

今すぐ最寄りのJFマリンバンクを探す