ビジネス

「家で魚を食べてますか?」儲けよりも食文化の存続を目指す大阪商人(5/5)

儲けのその先にある「文化の維持」を目指して

── 仲買人としての上田さん、魚屋としての鍵谷さん、それぞれ立場は違えども現代の家庭と魚の関係性を危惧されて、いろんな活動をしていることがわかりました。では、おふたりがそれぞれ目指すゴールってたとえばどんなものがありますか?

上田

これだけ魚の話をしていてアレなんですけど、僕は「魚を食べないといけない」なんてことは一切思っていないんです。ゴールとして言うのであれば「魚がある食卓を通じて、家庭がにぎやかになればいい」と思っていて。

鍵谷

僕も同じ意見ですね。魚は畜肉と違って、季節やその年の漁獲高で食べられる種類や値段が大きく変わってきます。それはこの国が四季の彩りがある島国だからなのですが、ゆえに生じる旬のランダム性も日々の食卓を楽しむ要素にしていってほしい。

鍵谷

もちろん商売としてやる以上は儲けも大切だけど、それよりも、儲けの先にある世界を想像しています。家族ぐるみで「魚っておいしいね」という体験をしてもらうことで、20年、30年後に世代交代が起きたときに、魚を食べる文化はきっといい形で存続すると思います。

「魚って、本当におもしろいんですよ」

上田さん、鍵谷さんが揃って言う。

刺身で食べたり、焼いたり煮たり揚げたり。1匹魚が捌けるようになると、ひとつの食材でいろんなアプローチができる。アラからはいい出汁が出るし、天日に干せば味がギュッと詰まった保存食にもなる。鶏や豚を一般家庭で捌くのは難しいが、魚は一度捌き方を身につければ、私たちの食生活を豊かにしてくれるのだ。

とはいえ急に魚が捌けるようにはならないので、まずは魚屋に行って、オススメの旬の魚を捌いてもらうところから始めてもいいだろう。

今日、魚を食べませんか?

文:平山靖子(おかん)
撮影:古賀亮平
編集:くいしん
記事提供元:Gyoppy! (ギョッピー)

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