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技術とロジックで常識を覆す!「音響カーテン」から始まる養殖マグロ革命(5/5)

道筋を示すために、人生を燃やす

── ACMSコンソーシアムの今後について教えてください。

そろそろ法人化を考える時期かなと思っています。現在は、養殖業者さんに装置を試してもらった上で、実績を認めていただいている段階。でもこれ以上開発を先に進めていくなら、やはり収益をあげることを考える必要がありますから。一般社団法人がいいかな、と考えています。

── 株式会社のほうが、収益は上がりそうな気がします。

私はどうも、長く公務員をしていたせいか儲けることを目的に活動するのがしんどいようなんです。社団法人なら株主総会もないし、非営利にすれば税金も軽くなるし、そちらが合っている気がしますね。

── 儲けるのが苦手、ですか。

もちろん、収益をあげることも運営のためには必要なことです。でも本当に大切なのは、自分たちの活動が社会にとってどういう意義があるのか、つまり、大義を示していくことだと思うんです。

その一環として、子どもたちへの教育事業を考えています。彼らに養殖の現場を見せて、理解を深めさせたい。

実際、生け簀の衛生管理上の問題や安全性を考えると子どもたちを生け簀に近づけるのはあまりよくないのではないかと懸念してはいます。でも、自分の食べる魚がどういうところで養殖されているのか、どうやって自分の口に入るのか。そこは必ず啓蒙していかなければなりませんから。

── 大義を訴えるんですね。

そうです。我々の使命は次の世代に、道筋を示していくことなんですよ。

それは教育だけに限らず、音響カーテンの開発もそう。尾数計測が正確になったからといって、すべての問題が一気に解決するわけではない。でも、突破口にはなる。

「ロジックに基づいた水産業」というパラダイムシフトが、もっと多くの変革につながっていけばいいなと考えています。そのために残りの人生燃やそうぜって、仲間たちと言っているところです。

さいごに

濱野さんをはじめACMSコンソーシアムの主要メンバーは、それぞれの分野で経験豊富な、高年の方々。培ってきた知見を結集させ、養殖業の常識を覆そうとしています。

「日本の安全・安心な養殖魚が海外で売れることが、日本の水産業を立て直す鍵」と語った濱野さん。

そんな大きなビジョンと、「音響カーテン」という具体的なソリューションを併せ持った濱野さんたちが、日本の水産業の新しい時代を切り拓いていく。

"おじさんたちの逆襲"とも呼べるようなマグロ養殖革命。革命は成功するのか、日本のマグロ養殖は変わるのか。今後も音響カーテンのことを応援していきたいと思います。

取材・撮影:長谷川琢也
文:たくよ
編集:くいしん
記事提供元:Gyoppy! (ギョッピー)

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