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技術とロジックで常識を覆す!「音響カーテン」から始まる養殖マグロ革命(4/5)
世界初の計測法

── 音響カーテンの仕組みについても教えていただきたいです。
生け簀内のあるポイントに、魚を感知する音波のカーテンを張り、そこを通過した魚の数をコンピューターで計算します。
まずは、1秒ごとに音響カーテンを何匹が通過するのかを調べます。
たとえば、3分間に30匹通過したとしましょう。すると、1秒あたりの通過数は30割る180で、0.1666666...匹となります。
今度はこれに、1匹が生け簀を一周するのにかかる時間を掛け算するんです。たとえば、1匹が一周するのに30秒かかるとします。すると答えは、5匹ということになります。
つまり、最初の1秒で通過した0.1666666...匹の魚たちは、30秒たつまで戻ってこない。逆にいえば、0.1666666...匹が、30セット、別々に用意されたことになる。仕組みとしてはそんな感じです。

── なるほど。めちゃくちゃ難しいですね(笑)。
一般の方には伝わりづらいかと思います(笑)。まあ見てください。これが音響カーテンをつくり出す、ソナーです。
── ソナーって「水中の物体を、音波を利用して探知する機械」ってことですよね?
そうそう。
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何やら箱をごそごそしだす濱野さん -
中にはソナーが -
ソナーを抱えて誇らしげな濱野さん。めちゃくちゃうれしそう
── 音響カーテン、つまり、音のセンサーで、いかにマグロの数を精密にキャッチするかが問題ですね。
音響カーテンの周波数は460キロヘルツ。つまり、1秒間に460,000回の振動があるわけです。その周波数の超音波が1秒間に20回きめ細かく発射されて、機関銃みたいな感じですよ。通過する魚は全部キャッチされます。
── 機関銃!
単位時間あたりの通過尾数を調べるなんて、カメラにはできませんし、ダイバーが潜ってもだいたいのことしかわかりません。世界初の技術なんです。
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濱野さんが訳したソナーの本 -