8.借入手続・貸付事務手続
都道府県の利子補給承認後、貸付実行までの間にどうしても一部支払いの必要が生じた場合、自己資金にて支払っても差し支えありませんか。
差し支えありません。
都道府県の利子補給承認後、貸付実行までの期間はどの程度にすべきですか。
また、漁業者等が借り受けてから未使用のまま留保できる期間はどの程度まで認められますか。期間の設定については一律的な決まりはありませんが、事業着工や資金の必要時を考え適切な時期に行われるべきであり、その申し込みに対する事務処理も早急に行うとともに、貸付も必要時に併せて行う必要があります。この考え方を逸脱するような期間を設定するのは適切ではありません。具体的には、利子補給契約書において定めることとしています。
また、漁業者等に貸し付けられた資金が長期にわたり未使用のまま留保されることのないよう、実際に資金を必要とする時期に適切に融資することが必要であり、あらかじめ未使用のまま留保できる期間を設けるべきではありません。
事業完了前に漁業近代化資金を貸付ける(貸付実行する)事ができますか。
出来高払いをする場合は、事業完了前に貸し付けても構いません。
漁業近代化資金の貸付実行金の一部を金融機関が貸付留保金(あるいは別段貯金口座等へ一時、振替える)として留保することは問題ありませんか。
「漁業近代化資金融通制度の貸付限度額等の取扱いについて」(水産庁長官通達)記の5により、漁業近代化資金の一部を借受者の実状、融資対象事業の内容を勘案の上、融資機関が貸付留保金として留保する場合、留保期間は最長一年程度の範囲を限度とし、それ以後の利子補給は打ち切るものとされています。これは貸付実行後において融資機関が貸付金を常時確保しておき、いついかなる状態においても借受者に対し払出しができる体制を整えておくことの必要性からこのように認められているものであり、貸付留保金が債務者勘定に属する性格のものであるため、貸付留保期間中は利子補給金は貸付留保金に対して交付されることとなりますが、その上限は一年程度としています。
資金管理(貸付留保金を含む)の注意点を教えてください。
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資金管理の注意点
①貸付後は、貸付日と同日付で一旦貸付留保金口座に入れるか、別段貯金もしくは別段貯金と同等の条件となる普通貯金(以下「口座」という。)にしてください。 ②貸付日は、資金が実際に必要な時期とし、必要以上に長期間口座に留保することのないようにしてください。 ③貸付後の資金は、借受者に対する事業請負者等からの事業費請求に基づきその都度口座から払出し、事業費に係る領収書(振込受付書も可)を徴してください。 ④事業費に係る請求書、領収書等の関係書類は、借入申込書等とともに整備保管しておいてください。
貸付留保金の注意点
①貸付金の全部を必要以上に留保金口座または別段貯金等に留保することはできません。貸付日を毎月定例日としている融資機関は全額留保もやむを得ませんが、貸付日を一定日に定めずその都度貸し出しを行っている融資機関であれば全額の留保は認められません。特に転貸資金の場合は上部機関からの原資貸付けの貸付日をそのまま、漁業近代化資金の貸付け日とし全額を留保する傾向にあることから十分注意が必要です。 ②貸付金の一部を貸付留保金又は別段貯金等で留保している状態で貸付金の一部償還があった場合、直ちに留保金は繰り上げ償還を行わなければなりません。また、留保金を償還財源に充当することはできません。
自己資金部分の金額を延払いとすることはできますか。
延払いについては、制度上特に制約されるものではありませんが、漁業者等が過度に借入金に依存することは健全な漁業経営を維持するうえから望ましいことではなく、借入に当たって、ある程度自己資金を準備しておくことが妥当と考えられます。ただし、当該漁業者等の財務等を総合的に判断して、真にやむを得ないと認められる場合については、認めて差し支えありません。
なお、具体的には、融資機関と相談して判断されることとなります。
融資機関として漁業近代化資金を融資するにあたり、どのような点に留意し、審査したらよいでしょうか。
利子補給承認申請に当たっては、本資金導入により漁業者等の資本装備の高度化、漁業経営の近代化を目的とすることはもちろんですが、その他次の点について審査を行う必要があります。
①事業内容は制度の対象であるか。 ②申込金額は妥当か。 ③収支計画は妥当か ④資金計画は妥当か。 ⑤事前着工をしていないか。 ⑥同一の融資対象について日本政策金融公庫資金(沖縄県にあっては沖縄振興開発金融公庫資金)との協調融資を行うものでないか。 ⑦過大な設備投資でないか。 ⑧被代船等の処分代金もしくは漁船保険金の使途は適切か。 ⑨不測の事態に対処するための必要な措置を講じているか。(漁獲共済加入等) ⑩必要な添付書類はあるか。
漁業近代化資金の自己資金部分はいつ支払うこととなりますか。
自己資金は通常、貸付実行時までに準備されるべきものであり、貸付実行日もしくはその前に支払われるのが妥当と思われますが、具体的には融資機関と相談して判断されることとなります。